保存食としてギフトなどでも喜ばれるみかんの缶詰。スイーツ作りにはとても手軽で使いやすいのですが、びっくりするくらいキレイに薄皮が剥けていますよね。
ツヤツヤとしたシラップ漬けにされたみかんは本当に美味しそう!
ですが、あの芸術のような皮剥きには秘密があるのです。
それが「塩酸」です。
塩酸って劇薬でしょ?大丈夫なの?と心配される方もいらっしゃいますよね。
そこで今回は、その辺りを探ってみましたのでご紹介します。
外皮は柔らかくしてから剥く
缶詰を作る際、まずは山から収穫された新鮮なみかんを丁寧に水洗いします。
その時、人の目で傷がないかチェックします。
次に蒸気を当てて外皮を柔らかくしてから、皮を剥きます。
この時も、完全に剥けきれていないみかんは人の手で剥かれるのですね。
そして水圧によって房をバラバラにして、次にいよいよ塩酸の登場です。
決め手は「酸」と「アルカリ」
日本缶詰びん詰レトルト食品協会によると、バラバラになったみかんを約0.5%の希塩酸溶液と約0.3%の希水酸化ナトリウムの微温液に、それぞれ20~40分ほどくぐらせて、薄皮を完全に除去するのだそうです。
希塩酸溶液によって薄皮を柔らかくする「酸処理」の後、希水酸化ナトリウムによる「アルカリ処理」を行うことによって、薄皮がきれいに溶けるのですね。
その後は入念に水洗いをしてシラップを入れ、加熱殺菌されて缶詰の出来上がりです。
使用される塩酸は安全なもの
ところで薄皮を剥く際に使用される塩酸ですが、きちんと食品添加物にも認可されている安全なものになっています。
また、アルカリは酸を中和する働きがありますから、加工された缶詰の中には塩酸は全く残留していないので、身体には全く害はないのです。
まとめ
いかがでしたでしょうか?みかんの薄皮に含まれる成分にはセルロースやペクチンなどがありますが、それらは酸やアルカリで分解されるのですね。
なんでも溶かす劇薬というイメージが強い塩酸ですが、賢く使えばとても便利な働きをしてくれます。
これからは安心して、みかんの缶詰を召しあがって頂きたいと思います。
ところで余談ですが、数あるみかんの缶詰の中では、あえて薄皮を剥かずに加工されたものもあるそうですよ。また違った味わいが楽しめそうですね。
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