梨の栽培では、摘果が重要です。養分の分散を防ぐことで、おいしくて大きな梨に育つからです。
梨は、前の年にたくわえた養分を利用して開花し、実をふっくらとさせます。
その後は葉の光合成でつくられた養分を利用して、果実がどんどん大きくなります。梨のおいしさや大きさは、この限られた養分をどう利用するかで決まるのです。そこで、必要となってくる作業が「摘果」です。
【摘果作業の時期】
梨の花芽から咲く花の数は、だいたい10前後です。そのうち7つくらいが着果し、成長をはじめます。かわいらしいサイズの実を見ていると、すべて大きくしてあげたくなるのではないでしょうか。ですが、それでは養分の取り合いになってしまい、おいしい梨を収穫することはできませんね。
梨の摘果は、5月初旬~6月初旬におこなうのがよいとされています。この頃は、開花からだいたい3~4週間後になるでしょうか。実の大きさの目安として、ビー玉くらいの大きさになったら、摘果を行いましょう。
【摘果作業のやり方】
摘果とは、質のよい果実を残す剪定作業の一つです。ハサミを使って丁寧におこないましょう。梨の摘果は2~3回に分けておこない、最終的には葉30~40枚に対して1個の果実を残します。
一般的に「外側から3~5番目の果実を残すとよい」といわれています。品質のよい梨に育つといわれているからです。ですが、害虫被害にあっていたり、形がいびつだったりした場合には、他の果実を残さなければなりませんね。摘果の目安は次のとおりです、参考にしてください。
発育不良、奇形、病虫害のものは落とす
これは見た目ですぐにわかりますね。迷わずすぐに落としましょう。
軸が短いものは落とす
短い軸は折れやすいため、落とします。軸が太くて長く、果実が大きいものを残しましょう。外側から数えて1~2番目の果実は大きいのですが、奇形になりやすいので注意が必要です。
葉のついていない果実は落とす
果そう内に葉っぱが全くない状態の果実も、落とします。葉は光合成をして栄養を作る場所なので、近くにないとおいしい梨にはなりません。
真上を向いた果実と下を向いた果実は落とす
真上を向いている果実は、大きく育つと重みに耐えることができず、軸が折れやすくなります。下を向いた果実は葉の影で日照不足となり、発育不良や病気の原因になります。
主幹にできた果実はすべて落とす
主幹に果実をつけると良い枝がのびず、次の年からの収穫量が減ってしまいます。
「サラカムリ型」といわれる果実は残す
残したい果実が複数あった場合は、「サラカムリ型」の果実を残しましょう。「サラカムリ型」とは、お皿をかぶったような形の果実のことです。
まとめ
落とす果実が多くて「もったいない」と思ってしまいますが、おいしくて大きな梨に育てるためには摘果は必要です。最初は1果そうに1果を残し、果実がピンポン玉くらいに育ったら次の摘果をおこなうとよいでしょう。
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