「さくらんぼ」と聞けば、日本では誰もが同じものを想像するでしょう。

店頭には「アレ(佐藤錦)とアメリカンチェリー」だけだと思っている人がたくさんいると思いますが、さくらんぼには、たくさんの品種と歴史があったことを知っている人は少ないと思います。

これから、さくらんぼの歴史について調べます。

さくらんぼについて

さくらんぼ 日本 歴史

さくらんぼには、長い時間をかけて私達の中で自然に3つの呼び名で呼ぶ様になりました。

そして、それぞれを次の様に使い分けているということです。

①さくらんぼ

・収穫された実自体をさす

②桜桃(オウトウ)

・学問的(専門的)な場所で使われる用語

・まだ、その木や枝に収穫されずに実った状態(枝に付いた状態)の時に使う

③チェリー

・工場などで加工されて缶詰などの商品になったもの

・輸入されたもの

さくらんぼの歴史

①さくらんぼ(桜桃)の分類

・バラ科の桜属の果物で、お花見シーズンに咲く桜とは、「分類」から違うということです。

②初めての伝来

・日本に初めて伝わったのは明治維新(明治元年)の頃で、西洋のものを取り入れ、日本を発展させたいと願う当時の政府の政策の中に、さくらんぼの苗(桜桃)の苗も含まれていたそうです。

・明治9年頃、さくらんぼの苗が、初めて山形県に入ったそうです。

山形県に入る前から、全国では育成の実験が行なわれていた様ですが、どこも失敗続きだったそうです。

その中で、霜害や台風被害が比較的少ない山形県が優れた収穫量を上げることができた様です。

・この実験結果より先、さくらんぼの育成がますます山形県内に広がりを見せ、さらには、県を挙げての一大プロジェクトとなり、収穫量がますます増えたということです。

・平成18年には、日本国内での収穫量80%以上を誇り、揺るぎない1位の座と「さくらんぼ王国」の名前を知らしめることになったそうです。

・現在までにさくらんぼ狩りなどで山形県を訪れる観光客は数知れず、その経済効果は地域を間違いなく豊かにしているということです。

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山形県を「さくらんぼ王国」にまでのし上げた先人の努力

①佐藤錦

・山形県内の収穫量の70%以上を占める品種「佐藤錦」は、紛れもなく山形県産だということです。

・佐藤錦の味と人気は、さくらんぼの中でもダントツ1位を誇っているそうです。

・山形県産の佐藤錦は、海外にまでその名が知れ渡っている様です。

②佐藤錦の誕生

・明治時代、すでにさくらんぼ農家を営んでいた佐藤栄助は、自分の畑から収穫する実に限界を感じていた様です。

当時育成していた品種は、「日の出」、「珊瑚」、「若紫」などでしたが、収穫しても持ちが悪く、出荷しても売店に届くまでに腐らせたりと、相当悩んでいた様でした。

・大正元年、佐藤栄助は、黄玉(日持ちは悪いが味の良い)とナポレオン(酸味は強いがしっかりしていて日持ちの良い)を交配させたそうです。

※ナポレオンは、明治時代にアメリカから伝わったそうです。

・翌年の大正2年、交配させたさくらんぼから約50本の苗木を作り、その中からまた20本を選抜して育てたということです。

・大正11年、10年もの年月をかけて、ようやく「新生さくらんぼ」が実ったそうです。

そのさくらんぼは「味も日持ちも良く、育てやすい」といわれ、最後に選りすぐりの1本を原木にしたということです。

・昭和3年、新生さくらんぼの誕生に佐藤栄助と共に尽力した岡田東作(苗木商)が、「佐藤錦」と名付けたそうです。

・昭和50年頃には、「加工せずに、そのまま口にする(生食)」の需要が急増して、一気に日本全国へ広がっていった様です。

③次世代のさくらんぼ

・昭和54年、山形県立園芸試験場で、佐藤錦と天香錦を交配させて「紅秀峰」を作り出した様です。

※紅秀峰は、平成3年に種苗として登録された様です。

・平成元年、山形県内の試験場で交配と選抜を繰り返しながら、「紅きらり」を誕生させた様です。

※紅きらりは、18年後の平成18年にようやく品種登録の申請にこぎつけた様です。

・以後も、次々と交配と選抜を繰り返しながら、新しい品種を生み出しているということでした。

まとめ

明治の頃から日本にはさくらんぼはあった様ですが、市場ラインに乗せられるほど優れた品種が育たず、数少ない挑戦者だけがさくらんぼと格闘していた様です。

そんな中、アメリカから新種のさくらんぼ(ナポレオン)の苗木が輸入されたことにより、日本のさくらんぼ農家が活気づいたのは想像できます。

残念なことに、山形県など一部の地域でのみ育成が成功した品種(のちの佐藤錦)ですが、その成功が励みとなり、今や100品種近いさくらんぼが誕生しているとのことです。

先人の諦めなかった情熱に敬意を表したいと思いました。

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